作物の生育と土壌 Crop growth and soil
作物の生育
新しい作物を植えたけど生育が良くない、いつも通り育てているはずなのにうまく育たない、色々試しているけどなかなか収量が上がらない、こうした悩みをお持ちではないでしょうか。
作物の葉が見たことのない状態になっている、せっかくの収穫物が黒くなってしまって売り物にならない、似たような病気に効く農薬を撒いたけど効果がない、こんなことなったことありませんか?それ実は作物の「要素障害」かもしれません。(要素障害についてはこちらもご覧ください)
作物の生育には①光、②水、③空気、④温度、⑤養分が必要であり、⑥有害物質がないこと、が条件となります。これらを好適な状態に保つことで収量がアップしたり、「要素障害」を回避したりすることができます。これを判断する1つの材料が土壌診断です。
土壌診断って何ができるの?
そもそも土壌診断とは「土の健康診断」のことで、土壌の状態を把握し、問題点を見つけるためのものです。土壌のサンプルを採取し、専用の試薬や機材を用いることによって土壌に含まれる肥料成分やpH(水素イオン指数)、EC(電気伝導度)、CEC(陽イオン交換容量)などを分析することを言います。
従来土壌診断は「不足する養分」を見つけ出し、それを多く施肥することで補うためにおこなわれてきました。しかし近年では特にリン酸と加里が土壌に多く滞留しているという状況が多く見られるようになってきました。
そこですすめられてきたのが土壌診断を基軸とした「適正施肥」です。「不足する養分」を見つけ出すだけでなく、「過剰な養分」も見つけ出し、その土壌に適した「必要な分だけの肥料」を施用することで、施肥コストの削減、収量の増大、作物品質の向上をめざします。
BB肥料では土壌診断結果をもとにした成分の異なる肥料の設計が容易にでき、その土壌にもっとも適した肥料をおすすめすることができます。収量アップ、コスト低減にもつながるため、ぜひ土壌診断も含めてお近くのJA、BB肥料会社にご相談ください。
土壌診断ってどうやるの?
土壌診断は以下の流れでおこなわれます。
- ※以下は基本的な流れです。実際は地域によっても変わります。また、土壌診断をおこなうには事前に圃場情報の調査等も必要です。実施を希望される場合、まずはお近くのJAにご相談ください。
① 採土
圃場の土を採取します。採取は圃場の中央と対角線の計5か所から均一におこないます。
採取は下の図のように上下で厚さが変わらないように注意しつつ、1か所500g程度ずつ採取します。5種類の土をよく混ぜ500~1000g程度を診断用の土とします。
作物がある状態で採取する場合は肥料が混ざらないように注意してください。
詳しい取り方
② 試料の調整
診断用の土は新聞紙などの上に広げて日陰で1週間ほど乾燥させます。土を軽く砕いた後、1~2mmのふるいにかけます。通らなかった塊は再度砕いてすべてをとおる大きさに砕きます。その後約100g(分析項目が多い場合は約200g)を取って袋に入れて試料の完成です。
③ 試料の送付
完成した試料をJAに持ち込みます。集められた試料はJAから各地の土壌分析センターに発送します。
④ 分析
各地に設置された土壌分析センターで土壌の分析をおこないます。
⑤ 処方箋の作成
分析結果をもとに処方箋を作成し、生産者にフィードバックします。
処方箋ってどうやって読むの?
土壌診断を実施すると返ってくる処方箋、もらったはいいけどどう使えばいいの?ここでは土壌診断処方箋の読みかたを解説します。
土壌診断処方箋例
- 目標値と分析値、それに対する所見(施肥基準に対して適正、過剰、不足等)が表およびグラフで示されます。
- リン酸、交換性石灰、交換性加里が「低い」と診断された場合や、石灰苦土比、苦土加里比のバランスが悪い場合には、足りない部分を補うための土づくり肥料の施用が必要となります。それぞれ足りない要素を補う肥料を施用してください。
- リン酸、加里の分析値が「高い」場合にはその要素を抑えた減肥が可能です。
- その他「不足」している項目がある場合はその要素が入った肥料を施用するなどで補う必要があります。
- 総合所見と、過不足があった場合には改良に必要な資材が示されます。
- 減肥など、基肥に考慮すべき点がある場合はこちらに示されます。
実際に処方箋を出してみよう
圃場情報の管理
せっかく圃場にあった肥料を撒布したのですから、さらに一歩すすんだ栽培管理としてJA全農の提供する営農管理システム「Z-GIS」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
「Z-GIS」は圃場情報をインターネット上の電子地図と位置情報などによって関連付け、作業内容や作付計画を管理するソフトです。データは地図上に「見える化」することができるほか、クラウド管理のため複数名で共有することもできます。
また、土壌診断で得た診断結果を圃場の情報として登録することで、診断結果の管理も容易になります。
詳しくは下記HPをご参照のうえ、お問い合わせ窓口までご連絡をお願いします。